死後事務委任契約とは?おひとり様に必要な理由【行政書士が解説】
死後事務委任契約とは?おひとり様に必要な理由【行政書士が解説】
死後事務委任契約とは何か、ご存知ですか?「遺言書は作った。でも、亡くなった後の手続きは誰がやってくれるの?」そんな疑問をお持ちのおひとり様にぜひ知っていただきたい契約です。遺言書では財産の行き先を決められますが、亡くなった後の手続き・実務はカバーできません。
この記事では、死後事務委任契約の内容・必要な理由・契約の流れをわかりやすく解説します。
👉 この記事は「おひとり様の終活、何から始めればいい?押さえておきたい5つのポイント」の第3回です。
死後事務委任契約とは:おひとり様に必要な理由
死後事務委任契約とは、自分が亡くなった後に必要な各種手続きを、信頼できる人や専門家にあらかじめ依頼しておく契約です。
生前に契約を結んでおくことで、亡くなった後に受任者(依頼を受けた人)が契約内容に従って手続きを進めてくれます。
法的には「委任契約」の一種ですが、通常の委任契約は本人が亡くなると効力を失います。死後事務委任契約は「死後も効力が続く」旨を明記することで、亡くなった後も有効に機能します。
なぜおひとり様に必要なのか
家族がいる場合、亡くなった後の手続きは遺族が自然と担ってくれます。しかしおひとり様の場合、次のような問題が起こりえます。
- 葬儀・火葬を手配してくれる人がいない
- 賃貸住宅の退去・荷物の片付けを誰もしてくれない
- 公共料金やサブスクリプションが解約されないまま請求が続く
- 役所への各種届出が滞る
- デジタル遺品(SNS・メール・銀行口座)が放置される
これらを事前に契約しておくことで、残された周囲の人への負担をなくし、自分の希望通りに後始末を進めてもらうことができます。
死後事務委任契約でできること
契約に盛り込める内容は、主に以下の通りです。
① 葬儀・火葬・納骨に関すること
- 葬儀の手配・喪主の代行
- 火葬・納骨・散骨の手続き
- お墓・永代供養の手配
② 行政手続きに関すること
- 死亡届の提出
- 年金・健康保険の資格喪失手続き
- 各種行政機関への届出
③ 生活・契約の終了に関すること
- 賃貸住宅の退去手続き・原状回復
- 電気・ガス・水道・電話の解約
- サブスクリプション・会員サービスの解約
- 入院・施設費用の精算
④ デジタル遺品の処理
- SNSアカウントの削除・追悼設定
- メールアカウントの削除
- ネットバンク・電子マネーの解約
- パソコン・スマートフォンのデータ消去
⑤ 遺品整理・部屋の片付け
- 遺品の整理・形見分けの手配
- 不用品の処分
- 部屋の清掃・明け渡し
⑥ 関係者への連絡
- 友人・知人への訃報連絡
- 勤務先・取引先への連絡
死後事務委任契約とは何か:遺言書との違いと組み合わせ方
遺言書と死後事務委任契約は、役割がまったく異なります。
| 遺言書 | 死後事務委任契約 | |
|---|---|---|
| 主な役割 | 財産の行き先を決める | 亡くなった後の手続きを依頼する |
| 対象 | 財産(不動産・預貯金など) | 手続き・実務全般 |
| 法的効力 | あり | あり(契約として) |
| 葬儀の希望 | 記載できるが拘束力なし | 契約内容として実現できる |
遺言書だけでは「手続き面」はカバーできず、死後事務委任契約だけでは「財産の分配」はできません。この2つはセットで準備することで、はじめて「亡くなった後」のすべてに備えることができます。
👉 遺言書について詳しくは「おひとり様が遺言書を作るべき理由【行政書士が解説】」へ
死後事務委任契約とは:誰に依頼できるのか
死後事務委任契約の受任者(依頼する相手)は、原則として誰でも構いません。
- 信頼できる友人・知人:気心が知れているが、手続きの負担が大きい
- NPO法人・一般社団法人:終活支援を専門とする団体に依頼できる
- 行政書士・司法書士などの専門家:手続きに慣れており、確実に実行してもらえる
友人・知人に依頼する場合、気持ちの面では安心でも、実際の手続きが複雑で負担になってしまうことがあります。専門家に依頼することで、確実かつスムーズに進めてもらえるのが大きなメリットです。
契約の流れ
- 希望内容の整理:葬儀の形式・遺品整理の方針・連絡してほしい人など、自分の希望をまとめる
- 受任者の選定:誰に依頼するかを決める(専門家への相談がおすすめ)
- 契約内容の確認・作成:行政書士などが契約書を作成、内容を双方で確認する
- 公正証書による契約締結:より確実にするため、公正証書で作成するのが望ましい
- 費用の準備:預託金として事前に費用を預けておく方法が一般的
費用について
依頼する機関によって報酬は何万円も差がつきます。
当事務所の費用については、以下のページをご参照ください。
まとめ:死後事務委任契約とは何か・準備の進め方
死後事務委任契約は、おひとり様が「亡くなった後」の手続きを自分の意思で決めておくための大切な契約です。遺言書とセットで準備することで、財産面・手続き面の両方をカバーできます。
次回は「おひとり様が任意後見契約を結ぶメリット・タイミング」を解説します。今度は「亡くなった後」ではなく、「生きている間に判断能力が低下したとき」に備える制度についてお伝えします。
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