おひとり様が遺言書を作るべき理由【行政書士が解説】
おひとり様が遺言書を作るべき理由【行政書士が解説】
おひとり様の遺言書は「財産がたくさんある人が作るもの」と思っていませんか?実は財産の多少に関わらず、おひとり様にとって遺言書は非常に重要な準備のひとつです。
この記事では、おひとり様が遺言書を作るべき理由と、遺言書の種類・作り方をわかりやすく解説します。
👉 この記事は「おひとり様の終活、何から始めればいい?押さえておきたい5つのポイント」の第2回です。
おひとり様が遺言書を作らないと何が起きるのか
遺言書がない状態で亡くなった場合、財産は法律で定められた相続人(法定相続人)に引き継がれます。
おひとり様の法定相続人は、状況によって次のように決まります。
- 子どもがいる場合 → 子どもが相続
- 子どもがおらず親が存命の場合 → 親が相続
- 子どもも親もいない場合 → 兄弟姉妹・甥姪が相続
- 法定相続人が誰もいない場合 → 財産は国庫に帰属
ここで問題になるのが、「自分が財産を渡したい相手」と「法律上の相続人」が一致しないケースです。
たとえば——
- 長年お世話になった友人に財産を渡したいが、法的には他人なので相続できない
- 疎遠な兄弟には渡したくないが、遺言書がなければ相続される
- 支援している団体に寄付したいが、意思表示がなければ実現できない
遺言書があれば、こうした「自分の意思」を法的に有効な形で残すことができます。
おひとり様の遺言書が特に必要な3つの理由
理由① 財産の行き先を自分で決められる
前述の通り、遺言書がなければ財産は法律のルールに従って分配されます。おひとり様の場合、自分の意思とは無関係に財産が渡ってしまうリスクが特に高いです。
遺言書を作ることで、「誰に・何を・どれだけ」渡すかを自分で決めることができます。
理由② 相続手続きで残された人を困らせない
遺言書がない場合、相続人全員で「遺産分割協議」を行う必要があります。しかし相続人が疎遠な親族だった場合、連絡を取ること自体が困難になることも。
遺言書があれば、残された人たちの手続きの負担を大幅に減らすことができます。
理由③ 「おひとり様だからこそ」の備えになる
配偶者や子どもがいる方は、法定相続人が自然と身近な家族になります。しかしおひとり様の場合、法定相続人が「ほぼ他人」に近い疎遠な親族であるケースも少なくありません。
自分の人生を支えてくれた人たちへの感謝を形にする手段として、遺言書は非常に有効です。
おひとり様の遺言書:種類と比較
遺言書には主に2種類あります。
| 自筆証書遺言 | 公正証書遺言 | |
|---|---|---|
| 作成方法 | 自分で手書きして作成 | 公証役場で公証人が作成 |
| 費用 | ほぼ無料 | 数万円程度(財産額による) |
| 証人 | 不要 | 2名必要 |
| 保管 | 自分で保管(法務局への預け入れも可) | 公証役場が原本を保管 |
| 紛失・改ざんリスク | あり | ほぼなし |
| 家庭裁判所の検認 | 必要(法務局保管の場合は不要) | 不要 |
| おひとり様への適性 | △ | ◎ |
おひとり様には「公正証書遺言」がおすすめ
自筆証書遺言は手軽に作れる反面、書き方に不備があると無効になるリスクがあります。また、自分で保管する場合は紛失や発見されないリスクもあります。
一方、公正証書遺言は公証人が作成に関与するため内容の有効性が高く、原本は公証役場に保管されます。費用はかかりますが、おひとり様にとっては安心・確実な選択です。
遺言書に書けること・書けないこと
書けること(遺言事項)
- 財産の分配(誰に何を渡すか)
- 認知(婚外子を認知する)
- 未成年後見人の指定
- 遺言執行者の指定(手続きを担当する人)
- 付言事項(家族へのメッセージ)
書いても法的効力がないこと
- 葬儀の方法・お墓の希望(希望として書くことはできますが、法的拘束力はありません)
- ペットの世話の依頼(負担付き遺贈として工夫することは可能)
- 特定の人への感謝・メッセージ(付言事項として書くのはOK)
葬儀やペットの希望については、死後事務委任契約と組み合わせることで実現できます。
👉 詳しくは「死後事務委任契約とは?おひとり様に必要な理由」へ
遺言書作成の流れ(公正証書遺言の場合)
- 財産の整理:不動産・預貯金・保険などをリストアップする
- 相続人・受遺者の確認:誰に何を渡すかを決める
- 遺言内容の検討:行政書士などの専門家に相談しながら内容を固める
- 公証役場への予約・原案の提出:公証人に原案を確認してもらう
- 証人2名の手配:行政書士が証人を手配することも可能
- 公証役場で署名・押印:公証人立会いのもとで完成
行政書士に依頼すると、財産の整理から公証役場との調整・証人の手配までワンストップでサポートしてもらえます。
まとめ:おひとり様の遺言書は早めの準備が大切
おひとり様にとって遺言書は、自分の意思を確実に残すための大切なツールです。「財産が少ないから」「まだ若いから」と後回しにせず、元気なうちに準備しておくことをおすすめします。
次回は「死後事務委任契約とは?おひとり様に必要な理由」を解説します。遺言書だけではカバーできない「手続き面」の備えについて詳しくご説明します。
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