おひとり様が任意後見契約を結ぶメリット・タイミング【行政書士が解説】
おひとり様が任意後見契約を結ぶメリット・タイミング【行政書士が解説】
任意後見契約のメリットについて、「今は元気だから大丈夫」と後回しにしていませんか?認知症や突然の事故で判断能力が低下することは誰にでも起こりえます。おひとり様こそ早めの備えが重要です。
この記事では、任意後見契約の内容・おひとり様にとってのメリット・契約のタイミングについてわかりやすく解説します。
👉 この記事は「おひとり様の終活、何から始めればいい?押さえておきたい5つのポイント」の第4回です。
任意後見契約のメリットを知る前に:契約の内容とは
任意後見契約とは、将来、自分の判断能力が低下したときに備えて、信頼できる人(任意後見人)をあらかじめ決めておく契約です。
判断能力が低下した後、家庭裁判所に申し立てを行い「任意後見監督人」が選任されると、契約の効力が発生します。任意後見人は契約内容に従って、本人の財産管理や生活に関する手続きを代わりに行います。
「法定後見」との違い
判断能力が低下した後の支援制度には、任意後見のほかに「法定後見」があります。2つの大きな違いは「後見人を自分で選べるかどうか」です。
| 任意後見 | 法定後見 | |
|---|---|---|
| 後見人の選び方 | 自分で選ぶ(契約で決める) | 家庭裁判所が選任する |
| 契約のタイミング | 判断能力があるうちに締結 | 判断能力が低下した後に申し立て |
| 後見人になれる人 | 個人・法人(専門家含む) | 家庭裁判所が適切と判断した人 |
| 本人の意思反映 | ◎ 反映しやすい | △ 反映されにくいことも |
| おひとり様への適性 | ◎ | △ |
法定後見は、判断能力が低下してから手続きを始めるため、自分の希望する人を後見人に指定できません。おひとり様には、元気なうちに自分で後見人を選べる任意後見が特に重要です。
おひとり様に任意後見契約のメリットが大きい3つの理由
理由① 後見人を自分で選べる
法定後見では、家庭裁判所が後見人を選びます。見知らぬ専門家が選任されることも珍しくありません。任意後見なら、信頼できる友人・知人・専門家を自分で指定できます。
理由② 財産管理・生活支援の内容を自分で決められる
任意後見契約では、後見人に任せる内容をあらかじめ細かく決めておくことができます。「どの口座を管理してほしいか」「どの施設への入居を希望するか」など、自分の価値観・生活スタイルに合った支援内容を契約に盛り込めます。
理由③ 身元保証・緊急連絡先の問題に備えられる
おひとり様が入院・介護施設への入居を検討する際、身元保証人や緊急連絡先を求められることがあります。任意後見人がいることで、こうした場面でスムーズに対応できるようになります。
任意後見契約でできること
任意後見人が代わりに行える手続きには、主に以下のものがあります。
財産管理
- 預貯金の管理・引き出し
- 不動産の管理・売却手続き
- 税金・公共料金の支払い
- 年金・保険の受け取り手続き
身上監護(生活・医療・介護に関すること)
- 介護サービスの契約・手続き
- 医療機関・介護施設への入退院・入退所の手続き
- 日常生活に必要な契約の締結・解除
- 行政への各種申請手続き
注意:任意後見人は「法律行為(手続き・契約)」の代理はできますが、食事の介助・入浴の補助などの身体的な介護行為は対象外です。介護そのものはヘルパーなどの専門職が担います。
任意後見契約のメリットを活かすタイミングはいつ?
任意後見契約は、判断能力がしっかりある元気なうちに締結する必要があります。認知症の診断を受けた後や、判断能力が低下してからでは契約できません。
おすすめのタイミングは以下の通りです。
- 50〜60代:終活全般の準備と合わせて検討するのに最適
- 退職・引退のタイミング:生活が変わる節目に見直す機会として
- 身近な人が認知症になったとき:「自分も備えよう」と感じたタイミングで
- 健康診断で気になる結果が出たとき:早めの備えとして
「まだ早い」と思ったときが、実はちょうどいいタイミングです。
契約の流れ
- 後見人候補者の選定:誰に任せるかを決める(専門家への相談がおすすめ)
- 任せる内容の整理:財産管理・身上監護の範囲を決める
- 契約書の作成:行政書士などが契約書案を作成する
- 公正証書による締結:任意後見契約は必ず公正証書で作成する必要があります
- 登記:法務局に登記され、契約内容が公的に記録される
- 効力発生:判断能力が低下した際、家庭裁判所への申し立てを経て効力が発生
遺言書・死後事務委任契約との組み合わせ
任意後見契約は、遺言書・死後事務委任契約と組み合わせることで、「生きている間」から「亡くなった後」までの備えが完成します。
| 契約・書類 | 備えの場面 |
|---|---|
| 任意後見契約 | 判断能力が低下したとき(生存中) |
| 遺言書 | 亡くなった後の財産の分配 |
| 死後事務委任契約 | 亡くなった後の手続き・実務 |
この3つをセットで準備することが、おひとり様の終活における「完全な備え」と言えます。
👉 遺言書について詳しくは「おひとり様が遺言書を作るべき理由【行政書士が解説】」へ
👉 死後事務委任契約について詳しくは「死後事務委任契約とは?おひとり様に必要な理由」へ
まとめ:任意後見契約のメリットと早めの準備
任意後見契約は、おひとり様が「もしものとき」を自分の意思で備えるための重要な契約です。元気なうちにしか締結できないからこそ、早めの準備が大切です。
次回は「おひとり様の葬儀・お墓はどう決める?生前準備の方法」を解説します。
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